ドラッグストア業界を取り巻く競争環境は、年々厳しさを増している状況です。
競争が激化している要因としては大手チェーンの大量出店や、ネット通販の急成長などが挙げられます。そのためそれぞれの店舗が、既存顧客の囲い込みや新規顧客の獲得などに関する課題に直面しています。
厳しい環境下で生き残るために検討していただきたい戦略の一つが「POSシステムを使った顧客管理」に取り組むことです。適切に顧客管理を行い販売戦略に生かせれば、業績向上につなげられる可能性が十分にあります。
そこで本記事では、ドラッグストアがPOSシステムを使って顧客管理を行うメリットについて詳しく解説します。最後までお読みいただけると、POSシステムで顧客管理に取り組むべき重要性と強みをしっかりと、つかめるようになります。
ドラッグストアを取り巻く競争環境は激化している
冒頭でも述べたとおり、ドラッグストアを取り巻く競争環境は年々厳しくなっています。この状況を正確につかむためには、以下の3つの視点から業界の動向を捉える必要があります。
- 同業他社との競争
- スーパーやコンビニエンスストアとの競争
- Eコマースとの競争
同業他社との競争
ドラッグストア業界の業績は立地や商圏に依存しており、特定の地域に大量出店する「ドミナント戦略」が一般的な営業戦略です。以下のデータからも分かるように、ドラッグストアの出店数は右肩上がりで増加しています。
出典:政府統計の総合窓口「商業動態統計調査 確報 - 1 ドラッグストア販売 都道府県別販売額等及び前年同月比増減率 月次」
2014年に13,000件程度だった全国のドラッグストアの店舗数は、2023年には19,000件にまで増加し、業界内の競争が一層激化しています。同業他社だけでなく、同じチェーン内の店舗間でもカニバリゼーション(自社競合)が起こり、競争はさらに厳しい状況です。
今後、少子高齢化の進行に伴い、人口減少と消費の減退が予想される中で、過剰な出店がもたらすオーバーストア化が一層進行することが懸念されます。需要が限られる中での競争の激化は、業績悪化や店舗閉鎖のリスクを高める可能性があります。
スーパーやコンビニエンスストアとの競争
食品を主力商材とするドラッグストアが増えてから久しく、現在では食品スーパーやコンビニエンスストアにとっても脅威となる存在に成長しました。実際のデータでも、ドラッグストアの食品部門の売上規模が拡大している様子が明確につかめます。
出展:商業動態統計調査 確報 - 1 ドラッグストア販売 都道府県別販売額等及び前年同月比増減率 月次 | データベース | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
上記のデータによると、ドラッグストアの売上規模は2014年の1兆3390億円から、2023年には2兆6870億円まで急成長していることが分かります。近年では生鮮食品や総菜までを取り扱い、食品スーパーと遜色のない買い物体験を提供している店舗もあるほどです。
ドラッグストアは、食品の購入場所としての地位を確固たるものにしています。
しかし同時に、上記のデータからは、食品部門以外の売上はほとんど横ばいにとどまっている状況も見て取れるのが実情です。そのため食品の取り扱いが少ない、もしくはない店舗にとっては、厳しい状況に置かれていると考えられます。
Eコマースとの競争
医薬品のネット販売の規制緩和もまた、ドラッグストア業界の競争環境に変化をもたらしています。
2014年には一般医薬品のネット販売が解禁され、2020年には条件付きで医療用医薬品の販売が許可されました。2025年にはビデオ通話による薬剤師の服薬指導を条件に、要指導医薬品もネットで販売が可能になる予定です。つまり今後は事実上、医薬品のネット販売の規制が撤廃されます。
これによりEコマースが実店舗にとって脅威となり、顧客の奪い合いが激化する状況が予測されます。厳しい市場環境の変化に対応するため、ドラッグストアは顧客との関係を向上させ「選ばれる店舗」を目指していくための努力が、より一層求められると考えるべきです。
厳しい競争環境で生き残っていくためには「顧客管理」が鍵になる
厳しい競争環境のなかでドラッグストアが生き残るために、顧客管理が重要な役割を果たします。顧客管理とは顧客情報を収集・分析し、ニーズや行動を的確に把握することを指し、店舗の販売戦略を最適化させるために有効です。
消費者がどの店を利用するかの選択肢が幅広い現代の市場環境で、リピートの来店につなげるためには、顧客一人ひとりのニーズに応じた販売戦略が不可欠です。顧客が求める商品やサービスを適切なタイミングで提供できれば、顧客満足度が向上します。ひいては顧客ロイヤルティが高まり、また利用したい店として選ばれるようになるのです。
このように顧客管理を通じてニーズに合わせた販促活動を行い、顧客との信頼関係を深めることが競争を勝ち抜くための鍵となります。
ドラッグストアではPOSを使った顧客管理がおすすめ
顧客管理を販売戦略に取り入れると聞くと、ハードルが高く感じられるかもしれません。
昔ながらの個人商店のように、顧客と直接コミュニケーションを取り、ニーズを把握する方法は、セルフ販売が主流の現代のドラッグストアでは現実的ではありません。一方でCRMツールのような顧客管理専門ソフトウエアは初期費用が高額なため、導入後の費用対効果を疑問視するところもあるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、顧客管理機能の充実したPOSシステムの導入です。
POSシステムは現代の小売業に欠かせないツールであり、ポイントカードやクーポン発行を通じて効率的に顧客情報を集められます。また購入履歴や来店履歴といったデータを統合し、効果的な販売戦略を立案することも可能です。さらにはポイントやクーポンなどの制度自体が再来店の動機につながります。
加えてPOSシステムを新しくすることで販売や発注、在庫管理といった小売業の業務全体がアップグレードされ、効率化される可能性もあります。CRMツールの導入と比較するとPOSシステムを活用した顧客管理は、ドラッグストアにとって費用対効果を高めやすい選択といえるのです。
現在使用しているPOSシステムの顧客管理機能が十分でないと感じるなら、POSシステムの入れ替えを検討するタイミングかもしれません。
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顧客管理のできるPOSシステムを利用する5つのメリット
この章ではPOSシステムを活用して顧客管理を行うメリットを深掘りして解説していきます。
- 既存顧客に効率よくアプローチできる
- 顧客情報を生かしてピンポイントな販促を打てる
- 在庫管理の適正化につながる
- 医薬品販売に伴うリスクを低減できる
- 医薬品販売を効率化できる
1.既存顧客に効率よくアプローチできる
顧客管理を行う最大のメリットは既存顧客に効率よくアプローチできる点です。たとえばポイントカードの発行を通じて、顧客の氏名や連絡先などの情報を収集して管理しておけば、メールやLINEを活用してピンポイントな販促ができます。
既存顧客へのアプローチは、新規顧客をターゲットにした広範マーケティング活動に比べてコストを抑えられます。
さらにポイントカード自体が再来店の動機となり得ます。店舗での支払いに応じてポイントが付与されるメリットは、既存顧客の囲い込みに有効です。ポイントがたまることで消費者はお得感を感じるため、再来店の動機につながります。
2.顧客情報を生かしてピンポイントな販促を打てる
データを活用して効果的に顧客にアプローチできる点も顧客管理の大きな利点です。顧客管理を行えば「属性情報」と「履歴情報」が蓄積されます。
属性情報:顧客の年齢、性別、地域、職業などの基本的なプロフィールデータ
履歴情報:顧客の購入履歴、問い合わせ履歴などの行動データ
これらの情報を活用してさまざまな販促活動を複合的に行えます。
属性情報を生かしたアプローチの事例
若年層の女性顧客が多く購入する商品カテゴリーを分析して、ターゲット層に特化したキャンペーンを展開。
履歴情報を生かしたアプローチの事例
過去の購入履歴を基にリピート購入のタイミングを予測し、リマインドメールや割引クーポンを送付。
こうした手法を通じて個々の顧客に最適なタイミング・販促内容でアプローチできるため、顧客満足度の向上や売上の増加につながりやすいのです。
3.在庫管理の適正化につながる
ドラッグストアの商圏内の人口動態は流動的です。常に客層に入れ替わりが生じていると考えるべきでしょう。
そのため過去の販売データに基づいて同じ商品を入荷させても、在庫の過不足が生じる可能性があります。しかし、顧客の購入履歴や来店頻度に基づいた分析が可能なPOSシステムを活用することで、どの商品がどれ位の数量売れるのかといった予測の精度の向上が期待できるわけです。
予測精度の向上は自動発注機能の発注数量へと生かされ、過剰在庫や売り逃しによるチャンスロスを自動で防いでくれます。これまで自動発注システムが導入されている企業でも、従業員がシステムを信じず手動で修正を加えていた背景には、顧客データが反映されていなかったことが要因の一つでした。
信頼性の高い自動発注システムが構築されれば、従業員は安心してデジタルに発注を任せ、空いた時間を接客や売り場作りなどの業務に充てられるのです。
4.医薬品販売に伴うリスクを低減できる
医薬品販売では、販売時のリスク管理が重要です。
たとえばお客様への説明と同意が必須となる製品もあり、どんなに忙しい場合でも説明もれは許されません。POSシステムを活用することで購入時の説明や同意確認をチェックリストにし、説明漏れによるトラブルを防ぐことが可能です。これらの記録は顧客情報に紐付けられ、いつでも確認できるため、万が一の際にも迅速に対応できます。
さらに連絡事項のポップアップ表示や商品説明の同意確認機能がPOSレジに搭載されていれば、顧客の体質や状況に応じた注意事項をレジ画面に自動で表示させられます。これにより必要事項の伝えもれを確実に防止できるわけです。
このように顧客管理機能の充実したPOSシステムを導入することで、ドラッグストア特有のリスクがより発生しづらい環境を作れます。
5.医薬品販売を効率化できる
POSシステムを活用した顧客管理は、医薬品販売の効率化に大きなメリットをもたらすケースもあります。
レセプトコンピューター(レセコン)との連携機能により、お薬手帳データや電子カルテの情報を迅速に取り込めるためです。これにより会計処理がスムーズになり、お客様をお待たせすることが少なくなります。結果として顧客満足度の向上につながるわけです。
顧客管理のできるPOSシステムを導入する2つのデメリット
この章では顧客管理を行うデメリットを解説していきます。
- スタッフの教育が必要になる
- コストがかかる
1.スタッフの教育が必要になる
新たにPOSシステムを導入する際、スタッフにシステムの操作方法を教育するための時間と労力が必要になります。特に顧客管理機能を備えたPOSシステムは、顧客情報の登録や活用方法の習得に時間がかかるケースがあります。
せっかく導入したPOSが、その複雑さからスタッフに敬遠され、十分に活用されないケースもしばしばです。導入を検討する際には、デモを操作してみて使いやすさを確認しておきましょう。
また新システム導入に際した社内研修をスケジュールすることも肝要です。システムの使い方をスタッフが十分に身につければ、長期的にみて業務の効率化や顧客対応の質の向上につながりやすくなります。
2.コストがかかる
POSシステムの導入に際してはコストが大きくなりがちです。主流だったローカルで使用するPOSシステムは、バックヤードPCやローカルサーバーなどのハードウエアの購入に多額のコストを必要としていました。
しかし近年は、クラウド型POSシステムのようにコストを抑えられる選択肢も増えています。これらを活用することにより、大規模な設備投資が必要なくなっている状況です。これまでコストがネックとなりPOSシステムの導入に踏み切れなかった事業者にとっても、利用を検討する余地が生まれています。
ドラッグストアのさまざまな業務に対応した販売管理ツール「商メイト」
「顧客管理の重要性はわかっているけど、実際にはどうやって進めていけばいい?」と頭を抱える、ドラッグストアのオーナー様は多いものです。セルフ販売が主流の店舗でアナログな管理手段は難しいところがあります。またCRMツールは高額になるうえにスタッフの教育が難しいなど、導入のハードルが高いものです。
こうした場合におすすめできるクラウド型POSシステムが「商メイト」です。ポイントカード機能を搭載しており、既存顧客の情報を管理しながら再来店の動機を生み出せます。管理している顧客情報とPOSシステムの販売実績を連携させながら、個々のニーズに合わせた販売戦略を立案できるのも強みです。
さらには、連絡事項のポップアップ機能や商品説明の同意確認機能など、ドラッグストア運営に適したリスクヘッジに関する機能も備わっており、安全性の高い店舗運営をサポートします。
商メイトの詳細につきましては、以下のリンクよりご覧ください。
まとめ
本記事ではドラッグストアが顧客管理を行うべき理由と、POSシステムを活用した顧客管理のメリットについて紹介しました。
ドラッグストア業界は、大手チェーンの大量出店や食品販売の強化、医薬品のネット通販規制の緩和などを背景として、競争がますます激化しています。このような状況で生き残るためには「お客様に選ばれる店舗」を目指すことが不可欠です。
顧客管理を徹底することで個々のニーズに応じた販売戦略を実現し、顧客ロイヤルティの向上につなげられます。顧客管理の手法はいくつかあり、ドラッグストアにおいてはPOSシステムの活用が最適です。販売管理と顧客管理の両面に優れたPOSシステムの導入により、個々の顧客が持つニーズに対応した販売戦略を実施しやすくなります。
たとえばポイントカードシステムを活用することで、顧客情報を収集・管理しやすく、個々のニーズに合わせた販促を行って再来店の動機づけを強化することが可能です。また正確に顧客管理を行うことで在庫管理の効率化やドラッグストア特有のリスク防止など、幅広いメリットを享受できます。
一方で、新たなPOSシステムの導入にはコストがかかったり従業員教育が必要になったりとデメリットもあることは確かです。しかし、長期で見ればこれらのデメリットを上回る効果が期待できるため、ぜひ一度、導入を検討していただくことを推奨します。
ポイントカードシステム導入は「商メイト」におまかせ