売上管理とは店舗の日々の売上を集計し、経営状況を把握するための業務です。適切に行えば、経営改善につなげるための貴重なヒントが得られます。しかし、ただ単に売上を記録しているだけで、経営に十分活用できていない店舗も多いのが実情です。
本記事では適切に売上管理を行う重要性を改めて確認し、経営を成功させるために着目しておきたい数値についても紹介します。記事の後半では具体的な売上管理の方法についても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
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売上管理が飲食店経営に必要な2つの理由
現在、なんとなく事務的に売上をつけている状況なのであれば要注意かもしれません。そこでこの章では適切な売上管理が飲食店経営に必要な理由を2つ紹介します。
- 経営状態を正確に把握するため
- 営業数値の改善に生かすため
1.経営状態を正確に把握するため
飲食店経営において、適切な売上管理は経営状態を正確につかむために欠かせません。
日々の売上だけでなく、1週間、1ヶ月、さらには1年といった長期のスパンで売上を把握し、その期間にかかった経費と比較することで、経営が良好なのか、それとも悪化しているのかを正確に判断できます。
具体的には、すべての経費をあわせた割合が売上の60〜70%に収まっていれば、健全な状態といえるでしょう。しかし、日々の売上管理が正確でなければ、売上と経費のバランスを正しくつかめず、経営状態を見誤るリスクがあります。
適切な売上管理と経費管理がそろって初めて、経営の状態を正しく把握できるのです。
2. 営業数値の改善に生かすため
売上管理は経営状態を把握するのみならず営業数値の改善にも役立ちます。売上データを分析することで、どのメニューがよくオーダーされているのか、どの曜日や時間帯に売上が高いのかといった傾向の見極めが可能です。
たとえば、売上がランチセットに集中している場合、特別感のあるメニューを追加したりセットの内容を工夫したりして、客単価を上げる施策を取れます。週末の夜に集客が多いのであれば、その時間帯限定のメニューを導入したりキャンペーンを行ったりして、さらなる売上の拡大も狙えます。
一方、売上が低迷しているメニューを見直してカットしたり、集客の弱い時間帯の対策としてSNSを活用したプロモーションを打ったりするなど、弱点への対策も可能です。このように売上管理を通じて得られるデータは、営業数値の改善につなげるための貴重な情報源となり得ます。
売上管理を行ううえで把握すべき数値4選
一言に売上管理といっても、単に日々の売上を記録するのみで十分ではありません。正確に売上を管理し経営に生かすためには、さまざまな数値を把握しておくことが重要です。本章では、売上管理を行う際に押さえておきたい数値について解説します。
- 時間帯別売上
- 売上構成比
- 売上目標達成率
- 客単価
1.売上構成比
売上構成比とは、全体の売上に対する特定のメニューやカテゴリーの売上の割合を示す数値です。飲食店において、どのメニューが売上にどれだけ貢献しているかを把握するために、つかんでおく必要があります。
たとえば売上貢献度の高いメニューに絞って「サイズアップ無料キャンペーン」や「期間限定割引キャンペーン」を行うことで、売上アップが期待できます。また貢献度の高いメニューを基にした、派生メニューの導入も有効です。
一方で売上構成比の低いメニューは価格設定や販促方法を見直したり、廃止を検討したりする判断もできます。売上構成比は時期によって変動することもあるため、定期的にチェックしておく必要があります。
2.売上目標達成率
売上目標達成率とは、設定した売上目標に対してどれだけ達成できているかの度合いを示す指標です。売上が十分かどうかを直観的に捉えるために役立ちます。たとえば、毎月の売上目標に対して80%しか達成できていない場合、その差分を埋めるための追加施策を考え、改善を図ることが可能です。
また売上目標達成率をスタッフで共有して、モチベーションを高めるために活用できます。特に不調なときには、不足を数値で共有することでスタッフ一人ひとりが危機感を持てるようになります。結果として、オーダー時の提案や顧客サービスの見直しなど、目標達成に向けた積極的な行動を促す効果が期待できるわけです。
このように売上目標達成率を活用すれば、店舗運営にプラスの影響を与えられます。
3.客単価・来店客数
売上は「来店客数 × 客単価(1人あたりの平均購入金額)」という式で表されるため、客単価・来店客数はともに飲食店経営にとって重要な指標です。このうち来店客数を増やすことはなかなか難しい反面、客単価は工夫しだいでコントロールしやすい面があります。
たとえば魅力のあるセットメニューやトッピングメニューを考案することで、客単価の向上が期待できます。
しかし客単価は、高ければ高いほどよいわけではありません。過度に客単価を高めると割高感を与えてしまい、かえって顧客離れの原因になる場合もあります。客単価が高すぎる場合には価格の見直しや少量サイズの提供などの工夫が求められます。
つまり、客単価は程よく高い状態が理想的です。
自店の客単価が高いのか安いのかを正確につかむため、まずは競合店の価格帯を調査し、自店の価格が市場の相場とズレていないか確認する必要があります。
そのうえで「客単価 = 売上 ÷ 来店客数」という式に基づき、客単価を日々つかみながら、自分の店の相場を押さえなければなりません。相場をつかんだうえで客単価の動向を追っていくと客単価が高いか安いか気づきやすくなります。
4.時間帯別売上
特定の曜日や時間帯に集客が集中する店舗も多いため、時間帯別売上の把握は重要です。各時間帯にどの程度の売上があるか確認して、効果的な販促を打てます。
たとえばランチタイムの売上が高い場合、集客を促すキャンペーンを行ったり、客単価を上げるためにセットメニューを充実させたりといった施策が有効です。また売上のアップダウンをとらえてスタッフを適正に配置し、サービスの質を落とさないようにしていくことで顧客満足度を高め、間接的な売上アップにつなげられます。
一方、売上が低い時間帯には、タイムサービスやSNSを活用したプロモーションを展開するなど、集客を促進する対策が取れます。
このように時間帯別の売上データを蓄積することで、ピークタイムや閑散時間帯を曜日別に把握し、細かい営業戦略に落とし込めます。
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売上管理の3つの方法
ここまでを読み、売上管理をする重要性をつかめてきたところではないでしょうか?
しかし、どうやって売上管理をすれば良いのか疑問に思うかもしれません。本章では、売上を管理するための具体的な方法を3種類紹介します。
- 手書き
- 表計算ソフト
- POSシステム
1.手書きによる売上管理
市販の金銭出納帳やノートを使った手書きによる売上管理は、小規模な店舗でよく選ばれる手法です。手書きによる売上管理の最大のメリットは、コストを抑えつつ、売上を記録できる点にあります。確定申告に向けて、日々の売上や経費を記録したい場合には手書きでも十分対応可能です。
一方、手書きによる管理のデメリットとして、来店客数が増えると記録作業が煩雑になり、ミスや記録漏れが発生するリスクが高まります。また時間帯別の売上や、客単価、売り上げ構成比など細かなデータの記録が難しく、分析がしづらいのも難点です。
手書きによる売上管理は、小規模なビジネスでコストをかけずに売上を記録するには適していますが、売上データを営業戦略に活用するには適しません。
2.表計算ソフトを使った売上管理
手書きでの管理に限界を感じたら、ExcelやGoogleスプレッドシートなど「表計算ソフト」を使った売上管理がおすすめです。
表計算ソフトを使えば売上データの入力・計算が自動化されるため、手書きよりも作業負担が軽減され、計算ミスも減らせます。客単価や売上構成比を自動で算出する数式を入力することで、効率的にデータの抽出ができる点も強みです。
さらにデジタル保存が可能なため、物理的なスペースも不要で、なおかつ必要な情報をかんたんに検索して取り出せるのも大きな利点といえます。
売上集計表をゼロから作成することは難しそうに感じるかもしれません。しかし、インターネット上には無料のテンプレートが多く公開されています。このテンプレートをダウンロードし、自店向けにカスタマイズするのみですぐに使い始められます。
とはいえ表計算ソフトを使いこなすためには、数式や関数の基礎知識が必要になるものです。また帳票を細かくしすぎて、日々の入力作業が負担になることもあります。
表計算ソフトは手書きでの管理に限界を感じた事業者が、コストをかけず売上管理を効率化するための強力なツールです。ただしソフトの基礎的な使用スキルが求められるのと同時に、入力作業には日々、一定の時間を確保しなければなりません。
3.POSシステムを使った売上管理
POSレジを売上管理に活用すると、売上データが自動で収集されるため、非常に効率的です。手入力によるミスや集計漏れをしっかり防げます。日々の売上のみならず、時間帯別売上やメニュー別売上、売上構成費や客単価などを計算する必要もありません。いずれの数値も瞬時につかめます。
また在庫管理システムと連動しているPOSシステムもあり、売上に応じて在庫が自動更新されるため、食材を切らしてしまうリスクも軽減できます。
一方でPOSシステム導入のデメリットとしてコスト高になる点が挙げられます。レジ端末に加えてサーバーなどのハードウェアを導入する必要があり、初期費用が高額になってしまうのです。
しかし近年は、クラウド型POSレジの登場により導入コストが軽減されるようになってきています。クラウド型POSレジの特徴は、高額になりがちなサーバを必要とせず、インターネットを介して売上データを管理できる点です。これにより初期費用が抑えられ、小規模な店舗でも導入を検討しやすくなっています。
まとめ
飲食点経営において売上管理を適正に行うことで、経営状況を正確に把握し、業績改善に役立てられます。売上管理の手段には大きく分けて3つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあるため、店舗の規模や現状抱えるニーズに合わせ、適した方法を選ぶことが重要です。
管理の方法
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メリット
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デメリット
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手書き
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表計算ソフト
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POSシステム
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このうち売上管理を営業戦略に生かして、業績アップを視野に入れる場合にはPOSシステムの導入がおすすめです。デメリットである「導入コストの高さ」が気になるところかもしれませんが、現在は比較的低コストで導入できる「クラウド型POSシステム」があります。
これまでコストがネックとなりPOSシステムの導入を見送っていた事業者様も、この機会に再度検討してみてはいかがでしょうか?
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